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2025-12-18 - 更新日: 2025-12-18

事例:玩具製造業A社様 - 眠っていたデータを「稼ぐ力」に変える在庫分析基盤の構築

課題:蓄積されるだけのデータ、活用できない在庫情報

A社様は、Kintoneを活用して800種類を超える商品の在庫管理を行っていました。日々の入出荷データは正確に記録されており、「在庫数」の把握という点では問題なく運用できていました。

しかし、経営層からは以下のような悩みが聞かれました。

顕在化していた課題

  • 適正な在庫数が分からない - 何個持っていれば安心なのか、明確な基準がない
  • 発注タイミングが曖昧 - 経験と勘に頼った発注判断
  • 発注量の決定が難しい - どれだけ仕入れるべきか根拠がない
  • 動きの遅い在庫が見えない - 倉庫に眠っている「死に筋」商品を特定できない
  • 発注作業が月1回に限定 - データ分析に時間がかかり、頻繁な見直しができない

「Kintoneにはデータがたくさんあるんです。でも、それを見ても『だから何をすればいいのか』が分からない。データは溜まる一方で、活用できていませんでした」


解決策:Google Cloudを活用したデータ分析基盤の構築

弊社では、A社様の課題を解決するため、以下の3つのステップでデータ分析基盤を構築しました。

Step 1:KintoneからBigQueryへのデータ連携

Kintone APIを活用し、在庫データ・出荷データ・商品マスタなどを自動的にGoogle Cloud BigQueryへ転送する仕組みを構築しました。

ポイント:

  • 手作業でのデータ抽出・加工が不要に
  • 日次で最新データが自動更新
  • 過去データの蓄積により、時系列分析が可能に

Step 2:ABC分析・XYZ分析による商品の多角的評価

BigQuery上で、在庫管理の定番手法であるABC分析XYZ分析を組み合わせた分析を実装しました。

ABC分析(パレートの法則に基づく重要度分類)

ランク基準内容
A売上/利益の上位80%を構成売れ筋商品。欠品厳禁
B売上/利益の次の15%を構成中程度の重要度
C売上/利益の残り5%を構成死に筋候補。在庫削減対象

XYZ分析(需要変動に基づくリスク分類)

ランク基準内容
X変動係数が低い需要が安定。予測しやすい
Y変動係数が中程度季節性やトレンドあり
Z変動係数が高い需要が不規則。予測困難

Step 3:ROI(GMROI)とデュポン分析による投資効率の可視化

「たくさん売れる」と「儲かる」は違います。本プロジェクトでは、小売・流通業における最重要指標であるGMROI(商品投下資本粗利益率) を算出し、商品ごとの投資効率を明らかにしました。

GMROI(商品投下資本粗利益率)とは:

GMROI = 年間粗利額 ÷ 年間平均在庫金額(原価)
GMROI評価意味
200%以上優秀在庫投資額の2倍以上の利益を回収
100%〜200%健全投資額以上の利益を回収
100%未満警告在庫投資額を回収できていない

さらに、デュポン分析の手法を用いてGMROIを要因分解し、「なぜ儲かっているのか/儲かっていないのか」を明確にしました。

ROI = 売上総利益率(稼ぐ力) × 交差比率(回す力)
  • 売上総利益率:商品1個あたりの利益の厚み
  • 交差比率:在庫が売上に変わるスピード

この分解により、「値上げすべきか」「在庫を減らすべきか」といった具体的なアクションに繋げることが可能になりました。

Step 4:Looker Studioによるダッシュボード構築

分析結果をLooker Studio(旧:Google Data Studio)で可視化し、経営判断に直結するダッシュボードを構築しました。

主な可視化内容:

  • ABC×XYZマトリクスによる商品分布
  • ROI別の商品リスト
  • 問題在庫(低回転・低利益)の一覧
  • 月次での自動レポート配信(PDF)

導入効果:データが「判断」に変わる

発見された「要注意パターン」

分析の結果、以下のような「相関からの乖離」を発見できました。

パターン状態発見された問題対策
Aランク × 低ROI忙しい貧乏売れているが利益率が低いか、過剰在庫値上げまたは在庫圧縮
Zランク × 低ROI構造的な問題児需要不安定で安全在庫が膨らみROI悪化受発注への切り替え検討
Cランク × 高ROIニッチな優良株売上は少ないが効率的に利益を生む安易な廃番を避ける

具体的なアクション指針の確立

カテゴリ状態推奨アクション
スター商品ROI 200%超、Aランク在庫切れ厳禁。販促強化
薄利多売利益率低、回転高滞留防止。物流コスト削減
厚利少売回転悪、粗利大過剰発注抑制。ニッチ継続
問題在庫ROI 100%未満即時処分。棚と資金を解放

技術構成

┌─────────────┐    API     ┌─────────────┐    SQL     ┌─────────────┐
│   Kintone   │ ────────→ │  BigQuery   │ ────────→ │Looker Studio│
│ (在庫管理)   │  自動連携   │  (分析基盤)  │   可視化    │(ダッシュボード)│
└─────────────┘           └─────────────┘           └─────────────┘

使用技術・サービス:

  • Kintone(データソース)
  • Kintone REST API(データ連携)
  • Google Cloud BigQuery(データ分析基盤)
  • Google Cloud Scheduler(定期実行)
  • Looker Studio(可視化)

お客様の声

「これまでは『売れている商品』は分かっていましたが、『会社のお金を増やしている商品』と『資金を寝かせているだけの商品』の区別がつきませんでした。今回の分析で、800種類以上ある商品それぞれについて、どのような在庫管理をすべきか明確になりました」


プロジェクト概要

項目内容
期間約4ヶ月(フェーズ1〜2)
内容データ分析基盤構築、ABC/XYZ分析、ROI分析、ダッシュボード構築
運用月次レポート自動配信、日次データ更新

まとめ

kintone bigquery

本プロジェクトでは、「データはあるが活用できていない」という多くの中小企業が抱える課題に対し、以下のアプローチで解決を図りました。

  1. Kintone APIによる自動データ連携 - 手作業からの解放
  2. BigQueryでの高度な分析 - ABC/XYZ分析とROI計算の実装
  3. Looker Studioでの可視化 - 誰でも理解できるダッシュボード

眠っていたデータを「稼ぐ力」に変え、データドリブンな在庫管理を実現しました。


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